不動産用語集

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うりぬしのかしたんぽせきにん(ひんかくほうにおける~)

売り主の瑕疵担保責任(品確法における~)


売買契約や請負契約では、契約の対象となった物に瑕疵(かし)があることが後日判明した場合には、売主や請負人は損害賠償等の責任を負わなければならない場合があります。
このように、売主や請負人が負うべき損害賠償等の責任を「瑕疵担保責任」と呼んでいます(「瑕疵」は「欠陥」の意味である)。

瑕疵担保責任は、売買契約については民法第570条で規定されています。
しかしながら民法第570条は任意規定であるので、住宅の売買契約の実務では、売主が瑕疵担保責任を負う期間を2年などの短い期間に設定するのが通例となっています。このように売主の瑕疵担保責任が事実上非常に限定されていることが、欠陥住宅問題の発生原因の一つであると考えられています。

こうした状況を改善するため、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第88条では「新築住宅の売買契約においては、売主は、住宅の引き渡しの時から10年間にわたって、構造耐力上主要な部分等に関する瑕疵担保責任を必ず負う」と規定。
これは、住宅の主要部分について売主が引き渡し時から10年間にわたり瑕疵担保責任を負うことを義務付けることで、住宅の買主を強く保護する規定です。

このような「品確法における売り主の瑕疵担保責任」の具体的な内容は次のとおりです。

1.適用対象は新築住宅のみです。
住宅品質確保法では、売主が10年間にわたり瑕疵担保責任を負うことを義務付けているが、この対象となるのは「新築住宅」のみであり、「既存住宅」は対象外である(既存住宅とは、「新築後1年以上経過した住宅」および「新築後1年以内に人が居住したことがある住宅」を指す)。

従って、既存住宅の売主には、住宅品質確保法第88条はいっさい適用されないので、既存住宅に関しては民法第570条により売主の責任を追及するほかない(詳しくは「瑕疵担保責任」へ)。
ただし、既存住宅の売主が宅地建物取引業者であるときは、宅地建物取引業法にもとづき、その売主の瑕疵担保責任の期間が設定されています(詳しくは「瑕疵担保責任(宅地建物取引業法における~)」へ)。

2.適用対象は「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」のみである。
「構造耐力上主要な部分」や「雨水の浸入を防止する部分」に該当しない部分(例えば住宅の内装など)について欠陥が判明したとしても、住宅品質確保法第88条は適用されない。この場合は民法第570条により売主の責任を追及する。

3.瑕疵は「隠れたる瑕疵」であることが必要とされる。
売買契約における売主の瑕疵担保責任は、契約の対象となる物に「隠れたる瑕疵」が存在する場合にのみ発生する。
ここでいう「隠れたる瑕疵」とは、「買主が一般的に要求される程度の注意を払ったにもかかわらず買主が発見できなかった欠陥」のことである。従って、一般人である買主が通常知ることができないような欠陥は「隠れたる瑕疵」に該当し、瑕疵担保責任を追及することができる。

4.引渡しから10年が過ぎると、瑕疵担保責任を追及できなくなる。
売主に対して瑕疵担保責任を追及することができる期間は、引渡し時(売主から買主への引渡しまたは建築業者から売主への引渡しのどちらか早い方)から10年間に限定されている。
従って、例えばマンションの外壁に欠陥があり、その欠陥が引渡しから11年後に発見されたとしても、品確法第88条は適用されない。

5.権利行使期間が終了すると、瑕疵担保責任を追及できなくなる。
瑕疵担保責任を追及するためには、買主が欠陥を発見したときから1年以内に、売主に対して瑕疵担保責任を追及する必要がある。この1年の期間を「権利行使期間」という(品確法第88条、民法第570条・566条)。
この権利行使期間が過ぎてから、売主に対して欠陥の補修または損害の賠償などを初めて要求したとしても、売主は瑕疵担保責任を負わないのである。

6.瑕疵担保責任の追及の方法は「瑕疵修補請求」と「損害賠償請求」と「契約解除」である。
瑕疵担保責任を追及する方法としては、買主は売主に対して、住宅の欠陥の補修工事を要求できる(これを「瑕疵修補請求」という)。
また、住宅の欠陥の補修工事が可能な場合であっても、補修工事を要求することなく、その欠陥から生じた損害を金銭で賠償するように要求できる(これを「損害賠償請求」という)。
つまり買主は自らの判断で、補修工事と金銭賠償のどちらでも要求することができる。また、補修工事と金銭賠償を組み合わせて要求することもできる。
なお、欠陥の程度がひどく、契約の目的を達することができない場合(欠陥により住宅に住むことが困難な場合など)には、売買契約そのものを解除して、代金全額の返還と損害賠償を要求することも可能です(品確法第88条、民法第570・566条)。

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